悪徳美容整形から金を取り返す(その1:ことの発端)

すべての発端は「ちょっと岡山行って豊胸手術してくるね」というLINEのメッセージ。

中洲で10年ほどバイトしてた経験から私には水商売の友人がちらほらいます。このLINEメッセージも中洲で働く女性から飛んできたもので、ワイと彼女とは10年くらいのお友達。

お互い食べることが趣味で、私は福岡北部の店を調べて共有、彼女(R)は福岡南部・熊本北部がテリトリー。おいしいご飯の共有で使ってたLINEに突然入ってくる「豊胸手術」の一言は唐突に過ぎる。

彼女は福岡→岡山に移動し手術を受ける予定で新幹線内で暇だったのと、途中北九州を通過するときに私のことを思い出してLINEしたらしいです。この一言が約1年に渡る美容整形との戦いになるとは考えてもいませんでした。

先に話の概要を書いとくと、この話は悪どい商売をしている美容整形との戦い方と返金までの道のりをまとめたものです。我々は最終的に国のサポートを受けて支払い金額の9割方(200万円)を取り戻しました。同様の被害に遭いながらも泣き寝入りしてる被害者は数多くいると思っていて、この記事をきっかけに

  • 美容整形という業界で何が行われているのか
  • 彼らのビジネスはどういう層を相手にしているのか
  • できるだけ自費をかけず金を取り返す方法

というのが広く伝わればいいなと思っています。悪どい美容整形業界、滅ぶべし。

きっかけはSNS(インスタ)を使った広告

被害者Rさんが普段通りインスタ巡回していたところ、とあるクリニックが「豊胸手術のモニターキャンペーン」を広告で打ち出しておりました。

豊胸って大体200万円〜300万円くらいかかるものですが、このモニターキャンペーン価格は驚きの15万円前後。某有名YouTuberともコラボしてモニターを集めています。前述のLINEメッセージが飛んできたときに「岡山まで行って手術するんだ。凄いね」的な話をしつつ相手方クリニックの名前を聞き出し、新宿に本店を構えるBクリニックであることを特定。Bクリニックの広告内容をチラチラ見たら相場の9割引のキャンペーンを打ち出していて、「こんな値段で豊胸とかできなくない?」という疑問が頭を過る。

ただ、私は美容整形素人なので豊胸相場の実態なんて分かりません。なので当時岡山で美容整形をやっていたK医師にSNSで連絡をとり「元気?岡山駅の近くにあるBクリニックってどうなん?」みたいな質問をしたところ、「完全に悪徳業者」との回答が。そのやり取りの中でBクリニックの統括院長が過去に在籍してたクリニックが色々と問題を起こしていること、美容整形の業界は医療事故を起こしたら示談で被害者を黙らせていること、大手メディア・週刊誌等は莫大な広告費をもらっている手前なかなか記事化されないこと等を聞きました。人が死ぬ事故も起きてるっぽくてマジで闇。

ただし示談に失敗する事例が時々あって、その場合はニュースになるようです。こういうのは示談に失敗したクリニック側の失策の結果です。

www.asahi.com

こういう商売をしている美容整形医師たちは「金をどうやって搾り取るか」「被害者を示談で黙らせる方法」をノウハウとして抱えてます。ノウハウといっても全然難しくないのでちょっとやる気のある医師はやり方盗んで即独立。医師が足りなければその辺の医師免許持ちを直美で召し抱えて荒稼ぎという構造になってます。こういう手勢に医師免許渡すの良くないと思うなあ…。

クリニック訪問とカウンセリング

Bクリニックは「交通費出します」を謳ってまして、Rさんは妹と一緒に福岡から岡山まで行っていて妹は岡山駅周辺を散策。姉は駅チカで豊胸手術

クリニックに入って受付を済ませ医師とのカウンセリング。朝移動でカウンセリングが大体昼前くらいです。もともとインスタの広告に書いてあった「脂肪注入豊胸手術 15万前後(モニターキャンペーン)」を希望していたのでその旨を医師に伝えると

  • 脂肪吸引の箇所を増やした方が良い
  • 脂肪豊胸だけでは理想の形にならないからシリコンバックを入れた方がいい
  • シリコンパックは360cc〜400cc入れようね

ということを言われます。

SNSで15万前後と言われていた価格はあれよあれよと増えていき、脂肪吸引箇所を増やす&シリコンパック使う前提で約320万円まで膨らみます。俺このビジネス知ってるわ。中洲に時々いたタケノコ剥ぎ*1

このカウンセリングの時点での駄目ポイントが何個かありまして

  • 患者への手術リスクの告知が無い

Rさんは水商売やっている手前ピルを服用しています。ピル処方者への全身麻酔血栓リスクが高まるので、麻酔を使った手術を行う場合は術前にピル服用を止める期間を作ります。このクリニックはカウンセリングで「私ピル飲んでます」を聞いた直後に手術に持って行こうとしました。これはダメ。

  • カウンセリング時における押し売り・リスク説明時の嘘

Rさんは身体に異物を入れることに若干拒否感があり、シリコンバックを入れた後にメンテナンスは必要ないのか?を医師に質問しています。シリコンバックを勧めた医師は「最近のシリコンバックは一度入れたらメンテナンス無しで不要」と伝えたらしいですが、将来的にメンテナンスを必要とするケースは普通にありえます。正しくリスクを伝えていません。

全身麻酔は術後に経過観察の時間を設けます。場合によってはクリニックに泊めてケアすることもあるでしょう。が、この日のスケジュールを考えると昼過ぎから手術してその後は強制帰宅コース。術後悪ければホテル取るとか考えてたのかもしれないけど、上記の対応考えると期待できないとは思います。

で、モニター写真をインスタで共有するキャンペーンに参加したら手術費はマイナス100万円強。約220万円の手術費用の出来上がり。もともとのキャンペーン価格約15万円はどこに行ったんや。

契約手続き

カウンセリングルームから移動して契約書の手続きに進みます。

契約書が1枚。覚書が2枚(なのだけど、契約書の覚書のような形態を取ってないのでこの書面の立ち位置がよく分からない)。誓約書が2種類でそれぞれ1枚づつ。手術への同意書が1種。クリニックのスタッフが「ここにチェック入れてサインしてくださいねー」的なこと言ったらあとは放置。別室で黙々とサインする形です。読み合わせなんてありません。契約書・誓約書の中身をざっと洗い出すと

【契約書】

  • 一回契約したら返金は受け付けません
  • 手術を別日に変える場合は50%もしくは100%の支払いを求めますが、一回だけ日程変更することもできますよ

【誓約書】

  • この誓約書にサインしたということは説明を十分に理解したものとします
  • カウンセリングで医師から説明された内容は予測だよ。成果を保証するものではありません
  • 誹謗中傷や名誉毀損したら損害賠償請求するよ

個人的には200〜300万円の契約書としてはお粗末で返金条件だけ無駄に渋く、その返金条件もどこに何が被せてあるかよく分からん代物。これ法務担当者いるのかな。

という感じで個室で自署サイン、チェックシートにチェック、契約金の一部を現金、残金をクレジットカードで支払って待機室で手術待ち。このタイミングでやっと電話で捕まえることができたので「このクリニックのヤバさ」を伝えて一旦クリニックを逃げるように誘導しました。

続きます。

*1:「5,000円で性的サービス受けられるよ」という呼び込みで部屋に誘導。女の子から「5,000円で手。服を脱いだら2,000円で、肌に触れたら3,000円追加。下着脱ぐのは5,000円…」という感じのことを言われ、財布が空になるまで金を取られるやり口